自宅でのテレワークやゲーム実況が一般的になる中で、手軽に導入できる防音対策として卓上防音ブースが注目を集めています。しかし、「効果がない」「意味がない」といったネガティブな口コミも散見され、導入に踏み切れない方も多いのが現状です。
結論から言うと、卓上タイプの防音ブースは「吸音」による録音品質の向上には一定の効果を発揮しますが、外部への音漏れを完全に防ぐ「遮音」に関しては物理的な限界があります。
本記事では、オフィスや自宅での使用を想定し、簡易防音室としての実力や、自作する場合の材料、安い折りたたみ製品の評価まで、失敗しないための判断基準を詳しく解説します。
- 卓上防音ブースが得意とする「吸音」と苦手な「遮音」の違い
- ゲーム実況やWeb会議で期待できる具体的な防音効果の限界
- 自作ブースと市販の既製品におけるコストパフォーマンスの比較
- 目的や環境に合わせた最適な卓上防音ボックスの選び方
卓上防音ブースの「吸音」と「遮音」の限界を徹底検証
卓上タイプの防音製品を検討する際、最も重要なのはその製品が「何を目的としているか」を正しく理解することです。
多くの製品は音を外に出さないことよりも、内部の反響を抑えることに重点を置いています。ここでは、物理的な構造から来る性能の限界と、実際の利用シーンにおける効果について検証します。
- 卓上ブースの主な効果は「吸音」であり、劇的な「遮音」は期待しにくい
- Web会議の音声クリア化には有効だが、叫び声などの大音量は防げない
- 構造上の隙間が多いため、空気伝播音を完全に遮断することは物理的に困難である
オフィスでのWeb会議における雑音カットの仕組みと効果

オフィスでのWeb会議において、卓上防音ブースは周囲の雑音をマイクが拾いにくくする点で一定の効果が期待できます。
ただ、卓上ブースは「自分の声を相手にクリアに届ける」ためのツールとしては有効ですが、「周囲の話し声を完全にシャットアウトする」ためのシェルターとしては不十分です。
オフィス環境では、電話の呼び出し音や同僚の話し声など、様々な環境音が飛び交っています。卓上防音ブース、特にフェルトやウレタン素材で作られたものは、これらの音がマイクに入り込む前に、素材の内部で音のエネルギーを減衰させる「吸音効果」を持っています。
ブースが壁となって直接的な音の侵入を防ぐと同時に、内壁で反射する自分の声を吸収するため、通話相手には非常にクリアな音声が届くようになります。これは、会議室不足に悩むオフィスにおいては導入のメリットが大きいと言えます。
しかし、防音の観点からは過度な期待は禁物です。卓上タイプは基本的に「手前側」が開口している構造が多く、背後からの音や、天井の空調音などは防ぎきれません。
また、隣席の人が大声で話している場合、その音波はブースの隙間や開口部から容易に回折してマイクに到達します。あくまで「マイク環境の改善」としての効果が主であり、完全なプライベート空間を作るものではないという認識が必要です。

「吸音」とは音の反射を抑えることであり、「遮音」とは音を通過させないことです。
多くの卓上ブースは「吸音」に特化しており、周囲への音漏れ防止(遮音)能力は限定的であることを理解しておきましょう。
ゲーム実況の叫び声に対する「簡易防音室」の防音限界


ゲーム実況における絶叫や大きなリアクションに対して、簡易的な卓上防音ブースだけで対応するのは難しいです。深夜の配信や近隣への騒音対策として卓上タイプを導入しても、期待するほどの遮音効果は得られない可能性が高いと言えます。
ゲーム実況、特にホラーゲームやFPSなどで発せられる突発的な大声は、エネルギーが非常に大きく、また周波数帯域も広いため、簡易的な素材では受け止めきれません。
卓上防音ブースの多くは、厚さ数センチの吸音材や段ボール、フェルトなどで構成されていますが、これらは質量が軽く、音を跳ね返す「遮音性能」が低いためです。
音は空気の振動であるため、質量のある重い物質でなければエネルギーを遮断することは難しいという物理的な原則があります。
また、ゲーム実況ではモニターに向かって声を出すスタイルが一般的ですが、卓上ブースはモニターごと覆うか、マイク周辺のみを覆う形状になります。モニターごと覆うタイプであっても、顔のあたりや背後は開放されていることが多く、そこから盛大に音が漏れ出します。
マイク周辺を覆う「リフレクションフィルター」のようなタイプであれば、録音される音質はドライで高品質になりますが、部屋全体に響き渡る声の大きさはほとんど変わりません。
したがって、近隣への音漏れ防止策としては、卓上ブース単体では十分ではありません。部屋全体の遮音対策を併用することが現実的です。
「卓上防音パーテーション」の本当の遮音性能と導入メリット


卓上防音パーテーションは、物理的な音の遮断よりも、視覚的な遮断による集中力向上と飛沫防止、そして若干の吸音効果が主なメリットです。遮音性能に関しては、設置しないよりはマシという程度であり、数値的な低減効果は限定的であることを理解しておくことが重要です。
オフィスやコワーキングスペースでよく見かけるフェルト製の卓上パーテーションは、デスク上の「間仕切り」としての役割が主です。これらを設置することで、周囲の視線をカットできるため、業務への集中力が高まるという心理的な効果は確実に存在します。
また、口元に近い位置に壁があることで、発話時の飛沫拡散を防ぐ効果や、直接音が対面の席に届くのを和らげる効果はあります。高音域のキンキンした音などはフェルト素材がある程度吸収してくれるため、オフィスの不快な反響音を抑え、全体的な静けさに貢献する側面もあります。
しかし、「隣の席の話し声がうるさい」という悩みを解決するために導入しても、劇的な変化は感じられない場合が多いのが現実です。音は障害物を乗り越えて回り込む性質(回折)があるため、高さ数十センチのパーテーションの上や横から容易に音が届いてしまうからです。
本格的な遮音を求めるのであれば、天井まで届くハイパーテーションや、完全個室型のブースが必要となります。卓上パーテーションは、あくまで「環境改善」のツールであり、「防音壁」ではないという点を踏まえて導入を検討するのが適切です。
自宅使用で音漏れが発生する構造的な原因と対策


自宅で卓上防音ブースを使用しても音が漏れてしまう最大の原因は、ブースそのものの「軽さ」と「隙間」にあります。
対策としては、ブースの隙間を極力減らす工夫と、部屋全体の防音対策を併用することが不可欠です。
卓上防音ブースは設置の容易さを優先しているため、段ボールやプラスチック、吸音スポンジといった軽量な素材で作られています。
防音の基本法則として「質量則」というものがあり、素材が重ければ重いほど音を遮る能力は高くなります。軽量な卓上ブースはこの法則において不利であり、音が素材を透過して外に出て行ってしまいます。
さらに、配線を通すための穴や、折りたたみ機構による継ぎ目、そして何より使用者の体が入るための大きな開口部が存在します。これらは音にとっては「素通りできるトンネル」のようなものであり、ここから音が漏れるのは構造上避けられません。
この限界を補うためには、ブース単体に頼るのではなく、複合的な対策が必要です。(参照:DAIKEN「防音構造例」)
例えば、ブースを設置している机の下に防音マットを敷く、ブースの背面に遮音シートを追加で貼り付ける、部屋のカーテンを厚手の防音カーテンに変更するといった方法が挙げられます。
(参考:Living-With-Sound「防音室の湿気対策は必要?」)
また、ブースを使用する際は、なるべくブースの奥にマイクを設置し、開口部を体や厚手のブランケットで塞ぐようにして使用することで、多少の改善は見込めます。
卓上ブースは「防音システムのパーツの一つ」として捉え、部屋全体の対策と組み合わせることで初めて実用的な効果に近づきます。
振動音に関する注意:
キーボードや机を叩くような『振動音(固体伝搬音)』は、卓上ブース単体では大きく低減できません。机の下に防振ゴムや制振マットを併用することで軽減が見込めます。
自作か既製品か?卓上防音ブースのおすすめ比較と選び方
卓上防音ブースを導入する際、コストを抑えるために自作を検討する方も多いでしょう。しかし、自作には手間だけでなく、安全性や耐久性の面でリスクも伴います。ここでは自作の手順とリスク、そして既製品を選ぶべき理由やおすすめの選び方について解説します。
- 自作は低コストだが、労力と完成度のバランスを考えると既製品の方が安定した品質を得やすい
- 段ボールや吸音材を使った自作は、通気性や耐火性などの安全面に配慮が必要
- 「だんぼっち」などの簡易防音室は、価格と性能のバランスが取れた選択肢となる
卓上防音ブースを自作する手順と労力のシミュレーション


自作防音ブースは、自分のデスク環境に合わせてサイズを調整できる点が最大のメリットです。
以下に一般的な段ボールと吸音材を用いた簡易ブースの作成手順と必要な材料を示します。
必要な材料と入手先
- 段ボール(大きめで厚手のもの):スーパーでの譲渡やホームセンターで購入
- 吸音材(ウレタンフォーム等):Amazonなどの通販やホームセンター
- 遮音シート(ゴム製等の重いシート):ホームセンターや建材店
- 接着剤・両面テープ(強力タイプ):100均やホームセンター
- カッター、定規、ガムテープ:100均やホームセンター
作成手順
- 設計図の作成:
設置するデスクのサイズと、中に入れる機材(マイク、モニター)のサイズを測り、箱型の設計図を描きます。 - ベースの作成:
段ボールを設計図通りにカットし、箱型に組み立てます。強度が不足する場合は段ボールを二重にします。 - 遮音シートの貼り付け:
段ボールの外側または内側に、隙間なく遮音シートを貼り付けます。これが音を遮る壁となります。 - 吸音材の貼り付け:
ブースの内側全面に吸音材を貼り付けます。これにより内部の反響を抑えます。 - 設置と調整:
デスクに設置し、配線用の穴を開けたり、不安定な部分を補強したりして完成です。
作業難易度は「★★★☆☆(中程度)」です。構造自体は単純ですが、遮音シートは重量があり扱いづらく、綺麗に仕上げるには根気が必要です。
また、材料費だけでも吸音材や遮音シートを揃えると数千円〜1万円前後になることがあり、手間や仕上がりを考慮すると、既製品との比較検討が望ましいでしょう。
自作の健康リスクとコスト検証:既製品が推奨される理由


自作はコストを抑えられる反面、換気不足による酸欠や、カビ・ダニの発生といった健康リスク、さらには火災のリスクも伴うため注意が必要です。
長期的な使用や安全性を考慮すると、設計段階でこれらの対策が施されている既製品の方が推奨されるケースが多くあります。
自作ブース、特に頭まですっぽり覆うようなタイプを作成する場合、最も注意すべきは「換気」です。
密閉性を高めると防音効果は上がりますが、熱や二酸化炭素がこもりやすくなるため、換気が十分でない環境では熱中症や息苦しさのリスクが生じる可能性があります。使用中は定期的に休憩や換気を行うことが重要です。
(参照:OTODASU公式コラム「防音室 換気について知っておくべきこと」)
また、段ボールやウレタンなどの多孔質素材は湿気を吸いやすく、換気や除湿を怠るとカビやダニが発生する可能性があります。これらはアレルギーの原因にもなり得るため、定期的なメンテナンスや作り直しが必要です。
さらに、段ボールやウレタンは可燃性のため、発熱する照明や電気配線と接触すると発火するおそれがあります。
市販の防音ブースや吸音材には難燃加工が施されているものが多いですが、自作の場合は素材選びから慎重に行わなければなりません。
コスト面で見ても、失敗して材料を買い直したり、すぐに劣化して作り直す手間を考えれば、最初から数万円程度の既製品を購入した方が、結果的に安く済み、かつ安全であるという判断も十分に合理的です。
安全上の注意:
自作ブース内での火気の使用は厳禁です。また、照明器具の発熱による発火にも細心の注意を払ってください。換気ファンを設置するなど、空気の循環を確保することは必須です。
「安い折りたたみ防音ブース」の実力と価格による性能差


1万円以下で購入できるような「安い折りたたみ防音ブース」は、手軽に導入できる反面、遮音性能は非常に限定的で、体感としてはわずかに軽減される程度と理解しておくのが適切です。
この価格帯の製品は、本格的な防音ではなく、簡易的な吸音と視界遮断を目的としています。
通販サイトなどで見かける安価な折りたたみブースは、主にポリエステルフェルトや薄いウレタンで作られています。
これらは非常に軽量で、使わないときは畳んでしまえるという利便性があります。しかし、前述の通り「軽さ」は防音(遮音)にとって不利な要素です。
これらの製品を使用しても、隣の部屋への音漏れを劇的に減らすことは難しいでしょう。あくまで「部屋の反響音を抑えて、Web会議の音声を聞き取りやすくする」「周囲の視線を遮って作業に集中する」といった用途に適しています。
一方で、3万円〜10万円クラスの製品(例:段ボール製防音室「だんぼっち」など)になると、構造がしっかりしており、ある程度の密閉性と質量が確保されるため、防音性能は一段階上がります。
それでも完全防音ではありませんが、歌の練習や軽めの実況配信程度であれば、近隣への配慮として機能するレベルにはなります。価格差はそのまま「素材の厚み・密度」と「密閉構造の精度」に直結していると考えましょう。
【徹底比較】おすすめの卓上防音ボックスと失敗しない選び方


卓上防音ボックスを選ぶ際は、予算だけでなく、設置スペースや目的に合わせた製品選びが重要です。以下に主要なタイプ別の比較表を作成しました。
| タイプ | 価格帯(目安) | 防音性能(遮音) | 設置の手間 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|
| フェルトパーティション型 | 3,000円〜1万円 | △ (ほぼ無し) | 楽 (置くだけ) | オフィスの視線遮断・飛沫防止 |
| マイク囲い型(リフレクションフィルター) | 5,000円〜2万円 | △ (吸音のみ) | 楽 (スタンド設置) | DTM・ナレーション録音の音質向上 |
| 頭部覆い型ボイスボックス | 1万円〜5万円 | ◯ (声量は減る) | 中 (組み立て) | 発声練習・大声を出さない実況・歌 |
| 簡易防音室(段ボール製等) | 5万円〜10万円 | ◯ (減衰効果あり) | 大変 (組み立て) | 本格的な歌・長時間の実況 |
良い口コミ・悪い口コミの傾向
- 良い口コミ:
「録音した音声の響きがなくなってクリアになった」
「視界が遮られるので作業に集中できるようになった」
「手軽にプライベート空間が作れた」 - 悪い口コミ:
「期待したほど音が消えなかった」
「夏場は内部が暑くて長時間いられない」
「サイズが意外と大きくてデスクからはみ出した」 - 中立意見:
「値段相応の効果。劇的ではないがある程度は安心感がある」
「組み立ては簡単だが、使わない時の置き場所に困る」
このように、吸音目的で購入したユーザーの満足度は高い一方、完全な消音を期待したユーザーからは不満が出る傾向にあります。
選び方としては、まず「録音品質を上げたい」のか「外への音漏れを防ぎたい」のかを明確にし、後者であれば予算を上げて密閉度の高い製品を選ぶか、卓上タイプ以外の本格的な防音室を検討する必要があります。
もし、手軽に録音環境を改善したいのであれば、以下の製品などが選択肢に入ります。
※頭部をすっぽり覆うタイプで、卓上製品の中では高い遮音性能と吸音性能を両立しており、プロの利用者も多い製品です。
【目的別】ゲーム・録音・仕事に最適なブースの選び方


最後に、具体的な利用シーンに合わせた最適なブースの選び方をまとめます。目的に合わない製品を選ぶと、効果を感じられないばかりか、作業効率が落ちる原因にもなります。
Web会議・テレワーク(仕事)
顔が隠れると困る場合は、カメラに映り込まない範囲の「コの字型フェルトパーティション」がおすすめ。周囲の雑音低減と自身の声の反響抑制に役立ちます。密閉型は熱がこもり長時間の会議には向きません。
ナレーション録音・DTM(録音)
音質重視なら、マイク背面を覆う「リフレクションフィルター」や、頭部を覆う「ボイスボックス」が最適です。部屋の残響音(リバーブ)をカットし、ドライで高品質な音声が録れます。
ゲーム実況・歌の練習(大音量)
卓上タイプでは限界がありますが、選ぶなら「頭部全体を覆う密閉型」一択です。
ただし、長時間のプレイは暑さとの戦いになります。可能であれば、卓上ではなく床置きの「簡易防音室(だんぼっち等)」の方が、体への負担も少なく遮音効果も高いためおすすめです。
卓上防音ブースに関するよくある質問
- 卓上防音ブースの中にエアコンの風を入れることはできますか?
-
構造上、外部からエアコンの風を直接取り込むことは難しい製品がほとんどです。
無理に隙間を作るとそこから音が漏れてしまいます。長時間の使用時は、こまめに休憩をとって換気するか、静音タイプの小型ファンを内部に持ち込むなどの暑さ対策が必要です。
- 賃貸マンションでも卓上防音ブースは使えますか?
-
はい、卓上タイプであれば設置工事が不要なため、賃貸でも問題なく使用できます。
壁や床を傷つけることもありません。ただし、管理会社への確認は不要なケースが大半ですが、深夜の大声など近隣への迷惑にならない範囲で使用することは入居者の義務です。
- 吸音材を貼れば貼るほど防音効果は高まりますか?
-
吸音材を増やすと室内の反響は減りますが、外への音漏れ(遮音性能)はほとんど変化しません。
遮音を高めるには、重い遮音シートなどの併用が必要です。
効果まとめ:卓上防音ブースを導入すべき人・やめるべき人
ここまで卓上防音ブースの効果と限界について解説してきました。結論として、卓上防音ブースは「魔法の防音箱」ではありません。
しかし、その特性を理解して正しく使えば、録音環境の改善や集中力の向上に大きく貢献するツールです。過度な期待をせず、自分の目的に合致しているかを見極めることが大切です。
- 卓上ブースは「吸音(響きを抑える)」が得意で、「遮音(音漏れを防ぐ)」は苦手。
- Web会議の音質向上や、集中できるスペース作りには非常に効果的。
- ゲーム実況の絶叫や本格的な楽器演奏の防音には、物理的な質量不足で不向き。
- 自作は安上がりだが、安全性と手間の観点からは既製品の方がおすすめ。
- 「何を防ぎたいか」を明確にし、音漏れ防止が最優先なら卓上タイプ以外も検討すべき。









