エアコンの室外機から響く「ブーン」という不快な異音。静かな夜間には特に目立ち、「近所迷惑になっていないか」「故障の前兆ではないか」と不安を感じる方も多いはずです。
実はこの重低音、単なる動作音ではなく、コンプレッサーの揺れがベランダや壁を震わせる「振動(固体伝播音)」であるケースが大半です。
そのため、フィルター掃除や設定温度の変更といった表面的な対策だけでは、解決しないことも多々あります。
本記事では、この「ブーン音」の物理的な正体を解明し、防振ゴムなどを用いて物理的にシャットアウトするための具体的な解決策を解説します。
- 室外機から発生するブーンという異音の主な原因
- 防振ゴムやマットを活用した効果的な静音対策
- 自力での対処が難しいケースと業者依頼の判断基準
エアコン室外機の異音「ブーン」原因とベランダで響く物理的理由
室外機から発生する騒音には、機械的な動作不良から設置環境に起因するものまで様々な要因が絡み合っています。まずは音が鳴るメカニズムを正しく理解することが、適切な対処への第一歩です。
- ブーン音の正体は主にコンプレッサーの振動やファンの回転音
- 経年劣化や汚れの蓄積が機械への負荷を高め騒音を増幅させる
- ベランダでは振動が床や壁を伝わる「固体伝播音」が特に響きやすい
室外機が「ブーンとうるさい」時に考えるべき3つの原因

室外機が唸るような音を立てる場合、その原因は大きく分けて次の3つに分類されます。
- 内部部品の振動
- 汚れによる負荷
- 設置不良による共振
エアコンの室外機には、冷媒ガスを圧縮して循環させるためのコンプレッサー(圧縮機)と、熱交換を行うためのファンが内蔵されています。
冷房や暖房を強く効かせようとフルパワーで運転している時、コンプレッサーは高速で回転し、それに伴い大きな振動が発生します。この振動が「ブーン」という低い唸り音の主な発生源です。
空調メーカー・ダイキンも、『ブーン』という音はコンプレッサーの回転音であり、直ちに故障ではないと解説しています。(参考:室外機から変わった音がする(ルームエアコン) – よくあるご質問)
また、熱交換器(フィン)に埃やゴミが詰まっていると、空気を吸い込む際に余計な力が必要となり、ファンやモーターへの負荷が増大して運転音が大きくなる傾向があります。
さらに、室外機を設置している架台や地面が不安定な場合、機械の振動が増幅される「共振現象」が起こり、騒音レベルが跳ね上がるケースも散見されます。
モーター音が響く?「急にうるさくなった」劣化と寿命サイン

長年使用しているエアコンで急に音が大きくなった場合、それは経年劣化による部品の摩耗や寿命のサインである可能性が高いと言えます。
エアコンの標準使用期間は一般的に10年程度とされています。
購入から数年は静かだったにもかかわらず、徐々に「ブーン」という音が大きくなってきた場合は、内部の防振ゴム(グロメット)が劣化して硬化し、コンプレッサーの振動を吸収しきれなくなっていることが考えられます。
また、ファンモーターの軸受(ベアリング)が摩耗することで、回転時に異音が発生することもあります。
これらは物理的な劣化であるため、外部からの対策だけでは解消しないことも多く、場合によっては買い替えや部品交換を検討する時期に来ているという合図でもあります。
エアコン室外機の異音「パタパタ」「カラカラ」の違いと原因

室外機から聞こえる音の種類を聞き分けることで、トラブルの原因をある程度特定することが可能です。
「ブーン」という重低音とは異なり、「パタパタ」という音が聞こえる場合は、ファンの近くに何かが接触している可能性が疑われます。
例えば、強風で飛んできたビニール袋や落ち葉がファンの送風口に張り付いていたり、内部に入り込んだりしているケースです。
また、「カラカラ」「カチカチ」という乾いた音がする場合は、ファンに小枝などの固形物が当たっているか、あるいはファンモーター自体の故障、内部部品の破損による破片の接触などが考えられます。
異音の種類によっては、振動対策ではなく、物理的な異物の除去や修理が必要となるため、まずは音の特徴を冷静に観察することが重要です。
【最重要】ベランダで響く「ブーン」の正体|固体伝播音とは何か

集合住宅のベランダなどで特に問題となりやすい「ブーン」という音は、空気を伝わる音よりも、床や壁を伝わる振動が原因であるケースが大半を占めます。
音には、空気を振動させて伝わる「空気伝播音(くうきでんぱおん)」と、物体の中を振動として伝わる「固体伝播音(こたいでんぱおん)」の2種類があります。
室外機のコンプレッサーが生み出す強力な振動は、室外機の脚からベランダの床面、そして建物へと直接伝わっていきます。
この振動が壁や床を震わせ、部屋の中で「ブーン」という不快な低周波音として聞こえるのです。
この場合、いくら室外機の周りを遮音シートで囲っても効果は限定的です。根本的な解決には、振動そのものを床に伝えないための「防振対策」が不可欠となります。

吸音材を貼れば音が消えると誤解されがちですが、低い振動音(固体伝播音)に対して、吸音材(スポンジなど)はほとんど効果を発揮しません。
振動には「重さのあるゴム」や「制振材」での対策が物理的に有効です。
エアコン室外機「ブーン音」の静音対策|自分でできる方法と業者依頼の目安
異音の原因が特定できたら、次は具体的な対策を実行します。ここでは、ユーザー自身で実施可能なメンテナンスや物理的な振動対策から、専門業者へ依頼すべきラインまでを解説します。
- フィルターやフィンの掃除で運転負荷を下げることが第一歩
- 振動対策には防振ゴムや専用マットの設置が最も効果的
- 壁との距離や水平を保つ設置環境の見直しも重要
掃除だけでは止まらない?フィルター清掃で負荷を減らす効果と限界


まずは基本的なメンテナンスとして掃除を行いますが、これは騒音をゼロにするものではなく、あくまで「負荷による騒音増大」を防ぐための手段です。
室外機の裏側にある熱交換器(アルミフィン)が目詰まりしていると、熱の放出がスムーズに行かず、コンプレッサーが無理をして高回転で稼働し続けます。
この状態を解消するために、フィン用のブラシや掃除機を使って埃を取り除くことは有効です。また、室内機のフィルター掃除も空気の循環を良くし、結果として室外機の負担軽減につながります。
しかし、すでに発生しているコンプレッサー自体の振動や、経年劣化による機械音を、掃除だけで消すことはできません。掃除は「本来の性能に戻す」作業であり、振動そのものを抑えるには、後述する物理的な対策が必要です。
ブーン音を物理で止める!防振ゴム・マットの正しい選び方


室外機の不快な振動音を抑えるために最も即効性が高く効果的なのが、室外機の脚の下に「防振ゴム」や「防振マット」を設置する方法です。
ホームセンターやネット通販では、エアコン室外機専用の防振グッズが販売されています。選ぶ際は、単なる薄いゴム板ではなく、厚みがあり、振動吸収性に優れた素材を選ぶことがポイントです。
特に、表面に溝加工が施されているものや、異なる素材を組み合わせたハイブリッドタイプの防振台は、高い防振効果が期待できます。
耐久性と防振性を兼ね備えた、室外機対策の定番アイテムとして以下の製品が挙げられます。
| 商品名 | 特徴・メリット | 価格帯 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 因幡電工 防振パッド GPC-100-10 | ・室外機専用の定番モデル ・厚みがあり振動吸収性能が高い ・ズレにくい素材で安定性◎ | 1,500〜2,000円 | ★★★★★(迷ったらコレ) |
| 東京防音 オリジナル防振マット | ・表面の溝加工で制振力が強い ・耐久性が高い ・集合住宅のベランダで特に効果を実感しやすい | 1,000〜2,000円 | ★★★★☆ |
| エアコン室外機用 防振ゴム4個セット | ・リーズナブルで試しやすい ・単純なゴム製で設置が簡単 ・応急処置として最適 | 800〜1,000円 | ★★★☆☆(コスパ重視向け) |
※上記の防振ゴムは厚みがあり、重量のある室外機の振動をしっかりと受け止めることができるため、ベランダへの振動伝達を軽減するのにおすすめです。
防振ゴム設置のDIY手順と注意点
自分で設置する場合の手順は以下の通りです。
- 必要な材料:防振ゴム(4個)、軍手、水平器(スマホアプリでも代用可)
- 入手先:ホームセンター、Amazon、楽天など
- 作業難易度:★2(室外機を持ち上げる力が必要)
手順:
- エアコンの運転を停止し、完全に止まったことを確認する。
- 室外機の片側を少しだけ持ち上げ、脚の下に防振ゴムを差し込む。
- 反対側も同様に行い、4箇所すべての脚の下にゴムを設置する。
- 室外機がガタついていないか確認し、不安定な場合は位置を微調整する。
安全上の注意
室外機は重量があり(20kg〜40kg程度)、無理な体勢で持ち上げると腰を痛めたり、室外機を転倒させて配管(冷媒管)を破損させたりするリスクがあります。
配管に無理な力がかかるとガス漏れの原因となり、重大な故障につながります。少しでも不安がある場合は、無理をせず2人で作業するか、専門業者に依頼することをおすすめします。
ベランダ設置の見直しで静かになる|位置・向き・固定方法


防振ゴムの設置と合わせて、室外機の設置環境を見直すことで、さらに静音効果を高めることができます。
まず確認すべきは「壁との距離」です。室外機が壁に近すぎると、振動が壁に伝わりやすくなるだけでなく、排気が壁に当たって跳ね返り、音がこもって増幅される原因になります。
メーカーの推奨するスペース(通常、背面や側面は5cm〜10cm以上)を確保することが重要です。
また、室外機が水平に設置されているかも重要なチェックポイントです。傾いた状態で運転すると、内部のコンプレッサーに偏った負荷がかかり、振動が大きくなります。
不安定な場所に置かれている場合は、ブロックや架台を調整して水平を保つようにします。



室外機の上に植木鉢や物を置いている家庭を見かけますが、これはビビリ音(共振音)の原因になります。
室外機の上には物を置かず、天板の振動を抑えたい場合は、防振用の鉛シートなどを貼るのが有効です。
状況が変わらない場合は専門業者へ修理依頼|放置するとどうなる?


防振ゴムを設置し、掃除を行っても「ブーン」という異音や振動が収まらない場合、内部の深刻な故障が疑われます。
特に、コンプレッサー内部の破損や、ファンモーターの軸ブレなどは、ユーザー自身で修理することは不可能です。
また、異音を放置して使い続けると、最終的にはコンプレッサーが焼き付いてエアコンが完全に動かなくなるだけでなく、発火やショートといった事故につながるリスクもゼロではありません。
「明らかに金属がぶつかる音がする」「焦げ臭いにおいがする」「冷暖房の効きが極端に悪い」といった症状を伴う場合は、速やかにエアコンの使用を中止し、メーカーのサポートセンターや専門の修理業者に点検を依頼してください。
エアコン室外機の異音に関するよくある質問(FAQ)
- 雨の日だけ室外機の音がうるさくなるのはなぜですか?
-
湿気によってファンベルト(使用している機種の場合)が鳴いたり、雨水が内部に入り込んでファンバランスが一時的に崩れたりすることがあります。
また、雨音と室外機の音が共鳴して大きく聞こえる場合もあります。一時的なものであれば問題ありませんが、続くようであれば点検が必要です。
- 暖房の時だけ「ブーン」という音が大きい気がします。
-
暖房運転時は、外気の熱を取り込むためにコンプレッサーにかかる負荷が冷房時よりも大きくなる傾向があります。
そのため、冬場の方が振動や運転音が大きくなるのはある程度正常な動作と言えます。ただし、近隣に響くほどの轟音であれば防振対策が必要です。
- 賃貸マンションですが、勝手に防振ゴムを敷いてもいいですか?
-
室外機の下にゴムを敷く程度であれば「原状回復」に影響しないため、基本的には問題ありません。
ただし、共有廊下に設置されている場合や、大掛かりな作業になる場合は、念のため管理会社や大家さんに確認することをおすすめします。
まとめ:エアコン室外機の「ブーン」は防振対策で解消可能
エアコン室外機から聞こえる不快な「ブーン」という異音は、多くの場合、コンプレッサーの振動が床や壁を伝わることで発生しています。
故障のサインでない限り、適切な防振対策を行うことで、騒音を大幅に軽減し、快適な生活環境を取り戻すことができます。まずは自分でできる対策から始めてみましょう。
- 異音の原因は「振動(固体伝播音)」か「経年劣化」かを見極める。
- フィルター掃除で機械への負荷を減らすことは基本のメンテナンス。
- 最も効果的な対策は、厚みのある「防振ゴム」を脚の下に設置すること。
- 壁との距離を保ち、室外機を水平に設置することで共振を防ぐ。
- 対策しても改善しない異音は、重大な故障の可能性があるため業者へ相談する。










