自宅の騒音対策や断熱効果の向上を目指して、二重窓のDIYを検討する方が増えています。特に「ポリカーボネート」は安く手に入るため、費用を抑えて手軽に対策したいと考えるのは自然な流れです。
しかし、いざ材料を揃える前に、「本当にその音に効果があるのか?」という点はおさえておく必要があります。
物理的な事実として、中空で軽いポリカーボネートは「車の走行音」や「電車の音」といった重低音を遮断する効果はほとんど期待できません。
一方で、「人の話し声」や「窓からの冷気」に対しては、施工で気密性さえ確保できれば、劇的な改善が見込めるのもまた事実です。
本記事では、DIYでの失敗を防ぐために、ポリカ二重窓の物理的な限界と、その性能を最大限引き出すための「隙間埋め施工術」について詳しく解説します。
- ポリカーボネート製二重窓の防音効果における物理的な限界と特性
- ホームセンターや通販で入手可能な二重窓キットの比較と選び方
- 隙間をなくしてたわみを防ぐための具体的なDIY施工手順と補強方法
- 本格的な防音を求める場合のガラス製内窓との費用対効果の違い
二重窓をDIYするポリカーボネートの防音効果の真実
ポリカーボネートを使用して二重窓を自作することは、断熱対策として人気がありますが、防音対策としてはその効果に物理的な限界があることを理解しておく必要があります。
ここでは、なぜ「効果がない」と感じられることがあるのか、素材の特性や音の伝わり方の観点から詳しく解説します。
- ポリカーボネートは軽量であるため、重量が必要な遮音には不利な面がある
- 音の種類によっては一定の効果が期待できるが、重低音の遮断は難しい
- 安価な素材や簡易的な施工による「隙間」が防音効果を大きく下げる要因となる
二重窓DIYは効果なし?防音できない物理的理由

結論から申し上げますと、ポリカーボネートによるDIY二重窓は、劇的な防音効果を期待しすぎると「効果なし」と感じてしまう可能性が高い対策です。
二重窓が防音に効果を発揮するメカニズムは、主に「気密性の向上」と「空気層による防音」の2点ですが、DIYの場合、これらを高いレベルで実現するのが難しいという現実があります。
特に問題となるのが気密性の確保です。(参照:気密性|技術基準・関連法規 | YKK AP)
既製品のアルミサッシや樹脂サッシは、工場での精密な加工により隙間が最小限に抑えられていますが、DIYで作成した内窓は、数ミリ単位の計測誤差や素材の歪みにより、どうしても隙間が生じやすくなります。
音は「水と同じ」と言われることがあり、わずかな隙間があればそこから漏れ出してしまいます。特にDIY初心者が陥りやすいのが、レールの取り付け位置のズレや、ポリカーボネート板のカットミスによる隙間です。
これにより、せっかく二重窓を設置しても、音が素通りしてしまい、労力に見合った効果が得られないという結果になりがちです。
ポリカーボネートの中空構造は防音に不利?質量則の壁

ポリカーボネート、特にDIYでよく使われる「中空ポリカーボネート」は、断熱性には優れていますが、防音に関しては「質量則」という物理法則の壁により不利な素材と言えます。
遮音性能は、基本的に「材料が重ければ重いほど高くなる」という性質(質量則)を持っています。
(参照:遮音性能を高める方法|建築音響 知識ページ)
ガラスと比較して、ポリカーボネートは非常に軽量な素材です。例えば、一般的な3mm厚のガラスの比重が約2.5であるのに対し、中空ポリカーボネートは内部が空洞であるため、面密度(1平方メートルあたりの重さ)はガラスの数分の一以下になります。
この「軽さ」は、音のエネルギーを受け止めて跳ね返す力(遮音性)が弱いことを意味します。中空構造内の空気が断熱には役立ちますが、音に対しては太鼓のように共鳴してしまい、特定の周波数では逆に音を通しやすくしてしまう現象(低音域共鳴透過)が起こるリスクさえあります。
したがって、ガラス製の内窓と同じような防音効果をポリカーボネート単体に期待するのは、物理的に無理があるのです。
「話し声」には効果あり?ポリカーボネートが得意な音域と苦手な重低音

ポリカーボネート二重窓は全ての音に無力というわけではなく、人の話し声やテレビの音などの中高音域に対しては、一定の軽減効果が期待できます。
音には「周波数」があり、高い音(高周波)ほど直進性が強く、物に当たると減衰しやすい性質があります。一方で、低い音(低周波)はエネルギーが大きく、物質を振動させて通り抜ける性質が強いです。
ポリカーボネートのような軽量な素材でも、気密性をしっかりと確保できていれば、中高音域の侵入経路である「窓の隙間」を塞ぐ役割を果たせます。
これにより、近所の子供の声や遠くの犬の鳴き声などは、「少し遠くで鳴っている」程度まで軽減できる可能性があります。
しかし、トラックの走行音、電車の通過音、近隣の重低音の音楽などは苦手分野です。
これらの低周波音は、軽量なポリカーボネート板自体を振動させて室内に入り込んでくるため(透過音)、DIYレベルの二重窓では防ぎきることが困難です。
低音対策を重視する場合は、より重量のある素材を選択するか、別の防音アプローチを検討する必要があります。
二重窓DIYを安く済ませる100均素材の限界と「隙間」のリスク

100均の素材(フォトフレーム、プラスチック板、隙間テープなど)を組み合わせて作る簡易的な二重窓は、コストを最小限に抑えられる反面、防音目的での使用には耐久性と気密性の面でリスクを伴います。
100均で入手できる素材は、基本的にサイズが小さく、厚みも薄いものがほとんどです。大きな窓に対応するためには素材を継ぎ接ぎする必要が出てきますが、その接合部分は音漏れの最大の原因となります。
また、専用のレール部材などがないため、窓枠への固定が不安定になりがちで、開閉のたびに隙間が広がったり、素材自体が変形してたわんだりすることがあります。
簡易DIYのリスク
隙間だらけの二重窓は、防音効果が薄いだけでなく、湿気が内部に入り込み「内部結露」を引き起こします。これが原因で黒カビが発生し、既存の窓枠やカーテンを傷める場合があります。
安さを追求するあまり、機能性を失っては本末転倒です。防音を目的とするならば、少なくともホームセンター等で販売されている専用の部材を使用することをおすすめします。
ポリカーボネートで二重窓をDIYし防音性を高める施工
ポリカーボネートの特性を理解した上で、それでもDIYで対策を行いたい場合、重要なのは「適切なキット選び」と「隙間を徹底的に埋める施工」です。ここでは、市販のキット比較や、大きな窓への施工方法、賃貸での注意点など、実践的なノウハウを紹介します。
- 専用キットを使用することで、気密性と開閉の利便性が大幅に向上する
- 大きな窓にはアルミ補強を入れることで、たわみによる隙間を防げる
- 賃貸物件では原状回復を考慮し、マスキングテープや突っ張り機構を活用する
ニトリ・コーナン・通販のポリカーボネート二重窓キット比較

DIY二重窓を成功させるための近道は、窓のサイズや用途に合った適切なキットや部材を選ぶことです。
よく「ニトリ 二重窓 キット」といったキーワードで検索されていますが、現時点ではニトリには「ポリカーボネート製の内窓作成キット」としての純正商品はラインナップされていません(断熱ボードやカーテン等はあります)。
本格的な内窓を自作する場合は、コーナンなどのホームセンターや、通販で購入できる専門メーカーの製品を選ぶのが一般的です。
| メーカー・製品名 | 価格帯(目安) | 防音性能 | 設置の手間 | 特徴・おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|
| アクリサンデー エコな簡易内窓 | 中 約10,000円〜 | 〇 | 普通 | 定番商品。部材の精度が高く、面材付きキットもあるため初心者におすすめ。気密性が確保しやすい。 |
| 光モール 内窓フレーム | 低〜中 約5,000円〜 | 〇 | 普通 | ホームセンターでの取り扱いが多い。部材単体での購入もしやすく、サイズ調整が柔軟にできる。 |
| 100均・自作 (レール代用等) | 極低 数千円) | △〜✕ | 高 | コストは安いが、隙間ができやすく防音効果は限定的。トイレの小窓など限定的な用途向き。 |
【口コミ・評判の要約】
- 良い口コミ:
「キットを使ったら見栄え良くできた」「冷気が入らなくなり、外の話し声も少し遠くなった気がする」 - 悪い口コミ:
「車の音には全く効果がなかった」「大きい窓だとパネルがペラペラしてたわむ」 - 中立意見:
「断熱効果は凄いが、防音はおまけ程度と考えたほうがいい」
防音を重視するなら、レールとフレームがしっかり噛み合う構造になっている「アクリサンデー」や「光モール」などの専用キットを使用するのが最も確実です。
Amazonや楽天で、窓のサイズに合わせたキットが購入できます。
大きい窓をDIYするならアルミ補強が必須!たわみ対策

掃き出し窓(ベランダに出るような大きな窓)にポリカーボネート二重窓を設置する場合、パネルの「たわみ」対策を行わないと、中央部分に大きな隙間ができて防音効果が激減します。
中空ポリカーボネートは、高さが1メートルを超えると自重や気温変化で反りやすくなります。これを防ぐためには、パネルの縦枠に「アルミ製の補強フレーム」を追加するか、キットに付属している補強材を必ず使用することが重要です。
【DIY施工手順(大きい窓の場合)】
- 難易度: ★★★☆☆(正確な採寸とカットが必要)
- 材料: 中空ポリカ板(4mm厚以上推奨)、内窓キット(LLサイズ等)、アルミ角パイプまたは専用補強材、金鋸、強力両面テープ
- 採寸:
窓枠の寸法を上・中・下の3箇所で測り、最小値を基準にします。 - レール設置:
上下左右にレールを取り付けます。大きい窓はレール自体も外れやすいため、ビス止め併用が理想ですが、賃貸の場合は強力両面テープ+タッカー(針)等で補強します。 - パネル加工:
パネルをカットし、周囲にフレームを取り付けます。この時、縦方向のフレームの中にアルミの芯材や補強材を仕込みます。 - 設置・調整:
パネルをはめ込み、開閉のスムーズさと中央の隙間を確認します。隙間がある場合は、戸車調整や隙間テープで微調整します。
安全上の注意
大きいポリカ板は風圧を受けると外れる恐れがあります。特に高層階や強風が当たる窓では、専門家への相談など入念な確認が必要です。
(参照:住宅防音工事標準仕方書(PDF)|国土交通省)
また、カッター作業時は怪我に十分注意しましょう。
二重窓DIYで隙間をなくし防音効果を高める方法

二重窓DIYで防音性能を最大限に引き出すための鍵は、徹底的な「隙間埋め」にあります。
単にキットを組み立てただけでは、レールとパネルの間、パネル同士の重なり部分(召し合わせ)、窓枠とレールの間などに微細な隙間が残っています。これらを一つずつ潰していく作業が、防音DIYの真骨頂です。
具体的には以下の対策が有効です。
- モヘア(起毛テープ)の追加:
パネルとレールの隙間、およびパネル同士が重なる部分にモヘアを貼ります。これにより摩擦を減らしつつ気密性を高められます。 - 下地処理の徹底:
レールを貼る際、窓枠の汚れを完全に除去し、枠の歪みを隙間テープなどで平滑にしてから取り付けます。 - クレセント錠周辺の処理:
既存窓の鍵(クレセント)が干渉しないよう位置を調整しつつ、その周辺から音が漏れないよう工夫が必要です。

隙間チェックには、夜間に懐中電灯を使うのがおすすめです。
外側(または内側)から光を当てて、反対側から光が漏れている場所があれば、そこが音の侵入経路です。地道ですが、このひと手間で効果が段違いに変わります。
賃貸で二重窓をDIYする際の原状回復のポイント


賃貸物件でDIYを行う際は、退去時に元の状態に戻せること(原状回復)が大前提となります。
強力な両面テープを窓枠に直接貼ってしまうと、剥がす際に窓枠の塗装や表面シートまで剥がれてしまい、高額な補修費用を請求されるトラブルになりかねません。これを避けるためには、「マスキングテープによる下地処理」が必須です。
手順:
- 窓枠の設置面に、粘着力が弱めのマスキングテープを貼る。
- そのマスキングテープの上に、キット付属の強力両面テープを貼る。
- レールを固定する。
また、窓枠に奥行きがない場合や、テープ跡がどうしても不安な場合は、突っ張り棒の原理を利用して支柱を立て、その支柱に二重窓を取り付ける「突っ張り式」の工法や、市販の突っ張りアジャスター(ラブリコやディアウォール)を活用する方法も検討してください。
管理会社や大家さんに事前に「釘やネジを使わない簡易的な内窓を設置しても良いか」を確認しておくとより安心です。
効果なしと諦める前に|ガラス製内窓(インプラス)との費用対効果


もし、DIYでの対策に限界を感じている、あるいはより確実な防音効果を求めているのであれば、プロ仕様の「ガラス製内窓」を検討することも一つの選択肢です。
LIXILの「インプラス」やYKK APの「プラマードU」などのメーカー製内窓は、気密性が非常に高く、ガラスの種類(防音合わせガラスなど)を選ぶことで、ピアノの音や交通騒音などにも高い効果を発揮します。
DIYポリカ内窓の費用目安が1〜2万円程度であるのに対し、メーカー製内窓(業者施工または施主支給でDIY取付)の相場は数万円〜十数万円ですが、その性能差と耐久年数(10年以上)を考慮すると、長期的にはコストパフォーマンスが良い場合もあります。
「まずは安価に試したい」ならポリカDIY、「確実に結果を出したい」ならガラス製内窓と、目的に応じて使い分けることが大切です。
採寸さえ正確にできれば、ドライバー1本で取り付け可能なオーダーメイドの内窓もネット通販で購入可能です。
実は「施主支給(自分でネット注文して取り付ける)」なら、業者に頼む半額以下(小窓なら2〜3万円台〜)で手に入ることもあります。
一度サイズを入力して見積もり価格をチェックしてみる価値は十分にあります。
二重窓やポリカーボネートに関するよくある質問
- ポリカーボネートとアクリル板、防音にはどちらが良いですか?
-
防音性能(遮音性)だけで言えば、同じ厚みならアクリル板の方が比重が大きく有利です。
しかし、アクリル板は高価で割れやすく、加工もしにくいデメリットがあります。コストと加工のしやすさ、断熱性とのバランスで中空ポリカーボネートが選ばれることが多いです。
- 二重窓をつけると結露はなくなりますか?
-
多くのケースで既存窓(外窓)の結露は大幅に軽減されます。
しかし、内窓自体の気密性が低いと、外窓と内窓の間の空間で結露が発生することがあります(内部結露)。これを防ぐには、内窓の気密性を高めて室内の湿気を入れないようにすることが重要です。
- 賃貸ですが、業者に頼んで内窓をつけてもいいですか?
-
原則として大家さんや管理会社の許可が必要です。
ビス止めが必要な製品が多いため、退去時の取り扱い(残置するか撤去して穴埋めするか等)を含めて事前に書面で合意を得ることを強くおすすめします。
防音対策の二重窓DIYとポリカーボネート活用まとめ
今回は、ポリカーボネートを使用した二重窓DIYの防音効果とその限界、そして効果を高めるための施工テクニックについて解説しました。
ポリカーボネート製の内窓は、断熱効果には非常に優れていますが、防音に関しては「隙間をいかに無くすか」が勝負であり、重低音などの特定の音には物理的な限界があることを理解して取り組む必要があります。
安易に100均素材だけで済ませるのではなく、専用のキットを使用したり、補強を入れたりすることで、満足度は大きく変わります。
ご自身の住環境や解決したい騒音レベルに合わせて、DIYに挑戦するか、プロ仕様の製品を選ぶか検討してみてください。
- ポリカーボネートDIY二重窓は、話し声などの高音域には効果があるが、車の走行音などの重低音には効果が薄い。
- 防音効果を高める最重要ポイントは「気密性」であり、丁寧な採寸と隙間埋め作業が不可欠である。
- 大きい窓にはアルミ補強を入れないと、たわんで隙間ができ、防音・断熱効果が損なわれる。
- 賃貸物件では、マスキングテープによる下地処理を行い、原状回復ができる施工方法を徹底する。
- 確実な防音性能を求める場合は、DIYの限界を理解し、ガラス製の内窓(インプラス等)の導入も視野に入れる。









