夫婦で同じ寝室を使っていると、生活リズムの違いによる物音や、パートナーのいびきが気になり、睡眠の質が下がってしまうことがあります。パーテーションを設置して空間を仕切ることで、音の問題を解決したいと考えるのは自然な流れです。
しかし、実際に導入してみると「思ったほど効果がなかった」「部屋が暑くなってしまった」といった失敗談も少なくありません。家庭用の防音パーテーションは、音の性質や正しい設置方法を理解して活用することで、はじめてその効果を発揮します。
本記事では、寝室における防音対策の現実的な効果と、ニトリなどの身近なアイテムを活用した代用アイデア、そして自作で仕切りを作る方法まで、快適な睡眠環境を作るためのノウハウを解説します。
- 寝室でのパーテーションによる防音効果の現実と限界
- 遮音と吸音の違いを理解した効果的な対策方法
- ニトリ製品などの活用アイデアや自作による防音壁の作り方
夫婦の寝室で防音パーテーションを使う際の基礎知識
寝室にパーテーションを導入する前に、まずは音の伝わり方や防音の基本原理を知っておくことが重要です。これらを知らずに製品選びをすると、期待外れの結果になりかねません。ここでは、失敗しないために押さえておくべき基礎知識を解説します。
- パーテーション単体で「いびき」を完全に遮断するのは物理的に困難
- 「音を跳ね返す」遮音と「音を吸収する」吸音の組み合わせが重要
- 空間を仕切る際は、エアコンの風が届かなくなるリスクへの対策が必須
いびきは防げる?防音パーテーションの効果と「回折」の壁

結論として、一般的なパーテーションを置くだけでは、重低音を含む「いびき」を完全に防ぐことはできません。
多くの人が「壁を作れば音は止まる」と考えがちですが、音には障害物の裏側に回り込んで伝わる「回折(かいせつ)」という性質があります。特に、いびきには低い周波数成分が多く含まれるため、低音が回折しやすい傾向があります。
例えば、高い塀の向こう側にいる人の話し声は聞こえにくくても、太鼓のような低い音は塀を乗り越えて聞こえてくるのと似ています。
天井や床との間に隙間があるパーテーションの場合、いびきの音エネルギーの多くはその隙間を通り抜け、まるで障害物がなかったかのようにパートナーの耳元へ届いてしまいます。
したがって、高さが150cm〜180cm程度の衝立(ついたて)をベッドの間に置いただけでは、視覚的な目隠しにはなっても、聴覚的な防音効果は限定的です。
いびき対策としてパーテーションを導入する場合は、単に置くだけでなく、いかに隙間を減らすか、あるいは別の対策と組み合わせるかが重要になります。
過度な期待を持たず、物理的な限界を理解した上で対策を検討することが、後悔しないための第一歩です。
遮音と吸音の違いを理解して防音効果を高める

防音効果を高めるには「重い素材で音を遮る(遮音)」と「柔らかい素材で音を吸う(吸音)」の両方を組み合わせるのが正解です。
「防音」という言葉はあいまいに使われがちですが、専門的には「遮音」と「吸音」に分けられます。この2つの役割を混同すると、目的に合った対策ができません。
| 用語 | 役割 | 代表的な素材 |
|---|---|---|
| 遮音 | 音を跳ね返して、向こう側に通さない | 石膏ボード、合板、遮音シート、コンクリートなど(重くて硬いもの) |
| 吸音 | 音を取り込んで反射を減らす(響きを抑える) | グラスウール、フェルト、スポンジ、布など(軽くて多孔質なもの) |

いびきや話し声が隣のスペースに漏れないようにするには、まず「遮音」が必要です。
しかし、遮音だけだと音が跳ね返って部屋の中で反響し、うるさく感じることがあります。そこで、フェルトなどの「吸音」素材を併用することで、音のエネルギーを減衰させ、静かな環境を作ることができます。
市販のフェルトパーテーションは吸音効果が得られますが、遮音性能は素材の軽さから限定的です。逆に、木製の重い板は「遮音」しますが、音を反射します。
寝室の環境改善には、質量のある遮音材と、音を吸収する吸音材のサンドイッチ構造を目指すのが理想的です。
POINT
市販の「吸音パネル」を買って効果が薄いと感じる場合は、裏面に「遮音シート(ゴムや塩ビ製)」を貼り付けるDIYがおすすめです。重量が増すことで、音を止める力がぐっと向上します。
寝室の防音パーテーション設置で注意すべき空調管理


寝室を物理的に仕切るとエアコンの風が循環しなくなり、深刻な温度格差が生じるため、サーキュレーターの併用が強く推奨されます。
防音効果を高めようとして天井近くまである背の高いパーテーションやカーテンを設置すると、空気の流れも遮断されてしまいます。
その結果、エアコンがある側のスペースは快適(あるいは寒すぎる)でも、仕切られた反対側のスペースは夏場には熱気がこもり、熱気がこもり、体感的にかなり暑くなる場合があります。これは睡眠の質を下げるだけでなく、熱中症のリスクも伴います。
この問題を解決するには、単にエアコンの設定温度を下げるのではなく、空気を強制的に循環させる仕組みが必要です。
- サーキュレーターの活用:仕切りの下や横の隙間を通して、冷たい空気を送り込むように設置します。
- 空気の通り道を作る:防音性能とのトレードオフになりますが、完全に塞がず、空気の対流ルートを確保します。
特に夏場や冬場は、音の問題を解決しようとして温熱環境が悪化しないよう、温度計をそれぞれのスペースに置いて管理することをおすすめします。
費用を抑えて防音仕切りを自作!突っ張りラックと吸音材の活用


賃貸でも設置可能な「突っ張りラック」を骨組みにし、吸音材と遮音材を固定することで、安価かつ高性能な防音壁を自作できます。
市販の防音パーテーションは高価なものが多いため、DIYで解決するのも一つの手段です。ここでは、壁や天井を傷つけずに設置できる簡易的な防音壁の作り方を紹介します。
自作防音壁の概要
- 作業難易度:★★★☆☆(少し手間はかかるが特殊技術は不要)
- 目安費用:2〜3万円程度(幅によります)
- 主な材料:
- 突っ張り式のメッシュラック(ホームセンターやネット通販)
または「2×4材」と「ラブリコ(突っ張りパーツ)」 - ロックウールボードなどの吸音材(建材通販)
- 遮音シート(建材通販)
- 結束バンド(100均)
- お好みの布やカーテン(仕上げ用)
- 突っ張り式のメッシュラック(ホームセンターやネット通販)
本格派なら「ラブリコ」がおすすめ:
ホームセンターで買える木材(2×4材)に「ラブリコ」を付けて柱にし、そこに板を打ち付ければ、さらに遮音性の高い強固な壁が作れます。
作成手順
- 骨組みの設置:
設置したい場所に突っ張りラックを天井と床でしっかり固定します。これが壁の骨格になります。 - 遮音シートの取り付け:
ラックのメッシュ部分に、遮音シートを結束バンドで固定します(※1)。隙間ができないように少し重ねて貼るのがコツです。 - 吸音材の設置:
遮音シートの上(音源側、またはいびきが気になる側)に、ロックウールボードなどの吸音材を取り付けます。 - 仕上げ:
吸音材がむき出しだと見栄えが悪く、繊維が飛散する可能性があるため、透通性の良い布やカーテンで全体を覆って完成です。
※1 遮音シートは重量があるため、結束バンドに加えて耐荷重のある固定具(Sフック・金具)を併用すると安全です。
安全上の注意:
突っ張りラックは地震などで転倒するリスクがあります。就寝中に体に倒れてこないよう、ベッドとの距離を確保するか、別途転倒防止策を講じてください。また、可燃性の高い素材の使用は避け、防炎製品を選ぶと安心です。
夫婦の寝室におすすめの防音パーテーションと対策
一口にパーテーションと言っても、その形状や性能はさまざまです。目的や予算、そして部屋の雰囲気に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。ここでは具体的な利用シーンに合わせた選び方と、おすすめの対策を紹介します。
- テレワークやゲームの「話し声」には吸音パネルタイプが最適
- おしゃれさを重視するならニトリなどのインテリア家具での代用も検討
- 本格的な無音環境が必要なら「部屋の中に部屋を作る」検討が必要
目的別で選ぶ防音パーテーションの性能比較


手軽さを取るならカーテン、話し声対策なら吸音パネル、本格的な対策ならDIY壁と、優先順位に合わせて選ぶ必要があります。
それぞれのタイプにはメリットとデメリットがあります。以下の比較表を参考に、ご家庭の状況にマッチするものを検討してください。
| タイプ | 防音カーテン・ 間仕切り | 自立型吸音パネル | DIY防音壁 |
|---|---|---|---|
| 価格帯(目安) | 数千円〜2万円 | 1万円〜3万円 | 2万円〜5万円 |
| 防音性能 | △ (高音は軽減) | 〇 (話し声に有効) | ◎ (作り方・質量によっていびきも軽減可) |
| 設置の手間 | 簡単 (突っ張り棒など) | 非常に簡単 (置くだけ) | 手間がかかる |
| おすすめ用途 | 視覚的な遮断、光対策 | テレワーク、ゲーム、会話 | いびき対策、本格防音 |
防音性能を重視するなら質量(重さ)が不可欠ですが、重いものは設置が大変で転倒リスクも高まります。一方、軽いものは設置が楽ですが、低音の遮断は苦手です。このバランスを見極めるのがポイントです。
(参照:「建築物の遮音性能基準と設計指針」 日本建築学会)
手軽に導入できる防音カーテンとしては、例えば以下のような製品が検討候補になります。
5層構造でしっかりとした厚みがあり、突っ張り棒で手軽に空間を仕切れます。
家庭用の防音パーテーションはゲームやテレワークの「声」に最適


人の話し声やゲームのボイスチャットなど「中高音域」の騒音には、家庭用のフェルト製吸音パーテーションが高い効果を発揮します。
夫婦の寝室問題は、いびきだけではありません。片方が寝ている横で、もう片方がテレワークをしたり、ゲームで通話をしたりする場合もあります。人の声は比較的周波数が高く、吸音材に吸収されやすい性質を持っています。
デスク周りを囲うように「コ」の字型に吸音パネルを配置することで、自分の声が部屋全体に響くのを抑え、同時にパートナーへの音漏れを軽減できます。
この用途であれば、天井まで塞ぐような大掛かりな壁は必要なく、デスク上の高さや、座った時の頭の高さをカバーできるパーテーションで十分な効果が期待できます。



ゲームやWeb会議の声対策なら、マイクに向かって話す声を直接吸い取るように、顔の近くに吸音材を配置するのが最も効率的です。
ニトリに防音用はある?おしゃれな寝室パーテーションの代用アイデア


ニトリなどのインテリアショップに「防音専用」のパーテーションはありませんが、遮光カーテンや突っ張りシェルフを工夫して使うことで代用可能です。
「防音」と銘打たれた製品は業務用感が出がちで、寝室のインテリアに馴染まないことがあります。そこでおしゃれさを重視する場合のアイデアを紹介します。
- 突っ張りシェルフ+書籍:
ニトリなどで販売されている突っ張り式の本棚を間仕切りとして設置し、そこに本をぎっしりと並べます。本(紙の束)は質量があり、一定の遮音効果を発揮します。隙間なく本を詰めることで、立派な防音壁になります。 - 遮光・遮熱カーテンの流用:
厚手の「遮光1級」「遮熱」カーテンは、生地の密度が高く、一定の防音効果(特に高音域)を持っています。突っ張り棒を使って天井から吊るすことで、ソフトな間仕切りになります。
これらの方法は、専用品ほどの性能はありませんが、見た目の圧迫感を抑えつつ、ある程度のプライバシーと静けさを確保できる現実的な選択肢です。
賃貸で設置する際の注意点と管理会社への確認


結論として、突っ張りタイプや置くだけのタイプなら基本的に賃貸でも設置可能(管理規約による)ですが、火災報知器の位置や消防法には注意が必要です。
賃貸物件でパーテーションを導入する際は、以下のポイントを必ず確認してください。
賃貸での確認事項:
- 原状回復:
壁や天井に釘やネジを使わないこと。突っ張りタイプを使用する場合も、長期間の使用で壁紙に跡が残らないよう、当て木や保護シートを挟むのが安心です。 - 火災報知器(煙感知器):
仕切りを天井付近まで設置すると、感知器が片側の空間だけになり、煙の流入が遅れる恐れがあります。メーカー推奨では感知器まわりを遮蔽物で囲わないことが求められており、60cm程度離す例もありますが、法的基準ではなく製品仕様によるため、必ず設置説明書や管理会社の指示を確認してください。 - スプリンクラー:
マンションによってはスプリンクラーの散水障害になる可能性があります。ヘッドの近くには物を置かないでください。
不安な場合は、設置前に「突っ張り式の家具で部屋を仕切りたいが問題ないか」を管理会社に相談することをおすすめします。
本格的な静寂を求めるなら「簡易防音室」か「高性能耳栓」の検討を


いびきや生活音を「ほぼ聞こえない」レベルにしたいなら、パーテーションでは限界があるため、簡易防音室の導入か、高性能耳栓の併用を検討すべきです。
パーテーションはあくまで「軽減」です。
完全に音を遮断するには、部屋の中にさらに小さな部屋を作る「簡易防音室(組立式防音ブース)」が必要になります。ただし、これは数十万円の費用とスペースが必要であり、寝室に置くには現実的ではない場合も多いでしょう。
そこで最もコストパフォーマンスが良いのが、パーテーションによる「音の軽減」と、高性能耳栓による「音の遮断」のハイブリッド対策です。
特に「MOLDEX(モルデックス)」などの工業用耳栓は、ドラッグストアで売られている一般的な耳栓とは比較にならないほどの遮音性能を持っています。
非常に柔らかい低反発ウレタン素材でできているため、長時間つけていても耳が痛くなりにくく、寝返りを打っても外れにくいのが特徴です。
夫婦の寝室の防音に関するよくある質問
- 防音パーテーションを置けば、いびきは全く聞こえなくなりますか?
-
残念ながら、全く聞こえなくすることは難しいです。いびきのような低い音は障害物を回り込む性質があるため、隙間のあるパーテーションでは完全に防げません。ただし、吸音材を使ったパーテーションであれば、音が部屋中に響くのを抑えられるため、「うるささ」の角が取れて聞こえ方がマイルドになる効果は期待できます。
- 天井まで届く背の高いパーテーションの方が効果は高いですか?
-
防音の観点からは、天井まで隙間なく塞ぐのが最も効果的です。しかし、完全に塞いでしまうとエアコンの風が届かなくなり、室温調整が困難になります。また、消防法上の問題が生じる可能性もあります。上部に少し隙間を空けてサーキュレーターで空気を回すなど、防音と快適性のバランスを取る必要があります。
- 段ボールで仕切りを作っても防音効果はありますか?
-
一般的な段ボール単体では、質量が軽すぎるため防音(遮音)効果はほとんど期待できません。ただし、視覚的に相手が見えなくなることで気にならなくなる心理的な効果はあります。防音効果を持たせるなら、段ボールの中に本を詰めたり、遮音シートを貼ったりして重さを出す工夫が必要です。
まとめ:夫婦の寝室は防音パーテーションで快適に
夫婦の寝室における音の問題は、デリケートですが解決可能な課題です。パーテーションだけで「完全防音」を目指すのは難しいものの、音の性質を理解し、適切な素材や配置を選ぶことで、ストレスを大幅に減らすことは十分に可能です。
視覚的な遮断によるリラックス効果と、吸音による静音化、そして耳栓などのアイテムを組み合わせる「複合的な対策」で、お互いが心地よく眠れる環境を作っていきましょう。
快適な睡眠は、夫婦円満の基盤です。 少しの工夫と投資で、毎晩のストレスから解放されるなら、それは決して高い買い物ではありません。まずは手軽な対策から、今夜から始めてみましょう。
- いびき対策には「遮音」と「吸音」の組み合わせが不可欠
- パーテーション設置時は、エアコンの風が循環するよう配慮する
- 話し声やゲーム音には、フェルト製の吸音パネルが効果的
- DIYなら突っ張りラックを活用して、賃貸でも高性能な壁が作れる
- 限界を感じたら、高性能耳栓との併用が最もコスパの良い解決策











